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2026/02/02 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第342号 米ドル安に揺れた金融市場


2月に入りました。次期FRB議長の発表や国内の総選挙のトピックがトリガーとなって、マーケットが揺れがちな今日この頃。こんな時期だからこそ、大局を見誤らないように過ごしたいもの。今月もどうぞ変わらずお付き合いください。

●先週のマーケット
●プロローグ
・政府閉鎖再び!?
●今週の米経済統計(予想)
●先週の米経済統計(結果)
●経済統計分析
1. CB消費者信頼感1月
2. 新規失業保険申請件数
3. PPI 12月
4. FOMC1月
 ・FOMC statement
 ・無風のFOMC
●注目テーマ
・加速した米ドル売り
・米国が日本に求める宿題
●あとがき

それでは、さっそくまいりましょう。

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あとがき
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今週のメルマガでは、日米協調のレートチェックに端を発するドル売り(ドル安)が進行したことを取り上げた。米ドルは対円のみならず、主要通貨に対して下落しており、スイスフランに対しては約11年ぶりの安値まで下落した。

レートチェックのみならず、米政府の一部閉鎖懸念や、トランプの強硬な外交政策など、米ドルが売られる材料には事欠かない中で、ドルの価値が下がると考えて別の資産に避難する投資のディベースメント取引の勢いが強まった。米ドルを売った資金は通貨ではユーロやスイスフラン、そしてゴールド、シルバーなど代替資産となる貴金属価格を押し上げた。

しかし、投機的資金を巻き込んで急騰していたゴールド、シルバーといった貴金属価格が週末のマーケットで記録的な急落を演じた。きっかけはトランプ大統領が次期FRB議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事を指名したことによる。ケビン・ウォーシュは他の議長候補(ケビン・ハセット、リック・リーダー)に比べると、それほどハト派ではないと市場参加者は考えており、それが貴金属の売りにつながったというわけだ。

ウォーシュは1970年生まれの55歳、モルガン・スタンレーを経て、2006年に35歳という史上最年少でFRB理事に就任、現在はスタンフォード大学の客員フェローや、著名投資家の投資会社パートナーを務めるなどしている。

FRB理事時代には、2008年の金融危機時に、「市場の言葉を話せる唯一の男」として重宝され、バーナンキ議長(当時)の特使として、深夜までウォール街とコミュニケーションをとり、パニック状態のマーケットとの橋渡し役を務めたと言われている。しかし、その後2011年には量的緩和(QE)策への懸念から、任期を大幅に残して辞任。この「周囲に流されず、自分の信念で席を立つ」姿勢は、現在のタカ派的な市場評価の根拠の一つとなっているといわれていて、先のドル売りの流れが変わったきっかけともいえる。

さて、そのウォーシュは、プライベートでは2002年に化粧品大手エスティ・ローダーの創業者エスティ・ローダーの孫娘ジェーン・ローダーと結婚しているが、ウォーシュにとっての義父ロン・ローダーはトランプ大統領の大学時代からの友人かつ大口献金者という間柄。そのため、トランプ大統領は第1次政権の際にもウォーシュを議長に指名しようとしていたとも言われている(最終的にはパウエルに決定)。トランプ大統領は、ウォーシュをその容姿や立ち振る舞いから「配役として完璧(セントラル・キャスティング)」と絶賛しているとか。その隙のないエリート然としたルックスが、「強いアメリカ」のシンボルとして信頼を得る決め手になったという逸話もあるほど。

パウエル議長も高身長でスマートでハンサムだが、次期議長はさらに若く注目を集めること間違いなし。特に、一部ではトランプと私的に近い関係が金融政策の采配に影響するのでは、といった懸念交じりの声が聞こえる。

まずは早く本人のコメントを聞いてみたいところだが、FRB議長になるには上院で批准される必要があることを考えると、まだ下手なことは喋れないだろう。とはいえ、公僕としての彼の手腕を疑う声はなく、「市場の言葉を話せる唯一の男」の真骨頂を遺憾なく発揮していただきたいと思っている。

さて、国内では選挙戦も折り返しで、高市自民圧勝か、と思っていたら土曜日に耳を疑うニュースが飛び込んできた。

高市早苗首相「円安で外為特会ホクホク」 為替メリットを強調(1月31日日経新聞)

これだけ国民がコスト高のインフレに苦しんでいるときに、街頭演説で言わなくてもいいのに、現下の円安のメリットを余程強調したかったのか、輸出企業の話をした後に「円安でもっと助かってるのが、外為特会っていうのがあるんですが、これの運用、今ホクホク状態です。」などと続けてしまった。

国民感情的にもNGだし、インフレ対策を本気でする気があるのかも疑わしい、マーケット的には「円安許容」発言と受け取られてもおかしくない。

ちなみに、珍しくロイターも英語圏に今回の発言のサマリーを発信しているが、外為特会については触れていない。ただ、輸出企業にとって円安はメリットであり関税のバッファーになったといった、円安を肯定的に捉える発言が発信された。

Japan PM talks up weak yen even as her government works to counter currency decline(1月31日ロイター)

財務大臣が円安進行を米国の力を借りてまでけん制する中、総理大臣が円安メリットを強調する発言をする、はたしてマーケットはどう受け止めるでしょうか?

そんなこんなで2月に入り寒さも厳しく、特に東北以北、北陸に日本海側は雪も悩ましい時期ですが、みなさまくれぐれもご自愛ください。

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