地政学ビジネスメディア オデッセイ

2025/11/17 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.297: 小噺・高市政権の経済政策


今回はとても簡単に、高市さんの経済政策について雑感を記します。記録的な高支持率に支えられ順調なスタートを切った高市政権。一連の外交日程終了後、国会に缶詰めになりつつ各種政策に着手しています。経済面では、日本成長戦略会議を立ち上げ、総合経済対策・補正予算へと進んでいます。

既に書き尽くされた感もありますが、経済政策について2つ心配をしています。杞憂に終わることを願うばかりです。なお、政策そのものではありませんが、総理の体調も気掛かりです。安倍政権は、短命に終わった第一次も、史上最長となった第二次も、いずれも総理の体調不良で幕を閉じました。政治の安定は何より大事。そうならないことを切に願います。

第一に、政策の目玉は「危機管理投資・成長投資による力強い経済成長の実現」です。内容そのものに異論はありませんし、危機管理投資は良いフレーミングと思います。ただ、中身は岸田・石破政権で進めてきたものと左程違いはありません。経済・食料・エネルギーなどの安全保障や防災は今に始まった課題ではなく、経済産業省主導で様々な政策が既に打ち出されていました。要は羊頭狗肉の面があるわけで、化けの皮が剥がれると株価にも響きます。何か新味を加えることができるか、知恵が求められます。

第二に、新味がなければ金額勝負になってきます。実際、総合経済対策や補正予算の規模を拡大すべきとの声が強まっています。この積極財政が数年前に英国で起きたトラスショックの再来を生まないか、気にしています。この確率が高いとは思いません。ただ、積極財政の理論的バックボーンとして一時流行ったMMT(Modern Monetary Theory)ですら、インフレ時の財政拡張を禁じます。日本の今の物価情勢をインフレと呼ぶかどうか微妙で、このため「確率が高いとは思いません」と書きました。ただ、長年デフレに悩んだ日本で、物価上昇率が確りプラスとなる局面での財政拡張が、初めてと言っても良い実験となる点は、忘れない方が良いと思います。

今回はこの辺で。

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