ODYSSEY Geopolitics & Business

2025/11/19 17:00  | by Konan |  コメント(0)

Vol. 298: 7~9月期GDPと内田副総裁


今回は、17日に公表された7~9月期GDPを簡単に紹介します。また、入院が公表された日銀内田副総裁についても触れます。5四半期プラス成長を続けてきた実質GDPは、2024年1~3月期以来のマイナス成長となりました。

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久方ぶりのマイナス成長
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7~9月期の実質GDPは前期比-0.4%(年率換算-1.8%)のマイナス成長となりました。寄与度は内需-0.2%、外需-0.2%と、内外需とも押し下げに寄与しました。

先に外需について触れると、輸出が前期比-1.2%(寄与度-0.3%)、輸入が前期比-0.1%(寄与度+0.0%)。トランプ関税の影響で自動車中心に輸出が減少。これは、分かりやすい予想された結果です。

他方、内需では住宅投資が前期比-9.4%、年率換算-32.5%、寄与度-0.3%と激減。内需のマイナス寄与の主犯になりました。GDPにおけるウエイトが小さい住宅投資がここまで暴れた例は記憶にありません。省エネ性能厳格化を求める法改正実施前の駆け込み建築の反動減です。また、民間在庫変動も寄与度-0.2%でした。他方、民間最終消費支出が前期比+0.1%(寄与度+0.1%)、設備投資が前期比+1.0%(寄与度+0.2%)、公的需要が前期比+0.5%(寄与度+0.1%)でしたので、中心的な需要項目はさほど悪くありません。

こうしてみると、今回のマイナス成長で悲観的になり過ぎる必要はないと思います。そうは言っても、実質賃金の伸びがマイナス、トランプ関税の影響が続く、中国からのインバウンド需要が減少する可能性があるなど、楽観的にもなれません。霧が晴れない状況が続きそうです。

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内田日銀副総裁入院
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衝撃的なニュースでした。一日も早い回復をお祈りします。

一般には植田総裁の方が知られていると思いますが、内田副総裁が日銀の政策や実務の中核的役割を果たしていることは、プロの間では常識です。まして、次の利上げが12月か1月と言われる中で、判断への影響の有無も気にせざるを得ません。

不謹慎な話を続けると、2028年春に任期を迎えるチーム植田は、任期5年の折り返し地点を過ぎました。高市さんの自民党総裁としての任期が2027年9月に訪れ、再選か新たな総裁が選ばれるか決した直後から、次の正副総裁人事が動き始めます。その時に、内田副総裁の体調への懸念が払拭されていることを願うばかりです。

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