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2025/12/20 08:00  | by Konan |  コメント(0)

Vol.302: 日銀利上げ


18・19日の金融政策決定会合で、日銀は0.75%への政策金利引き上げを決定しました。前々号、前号と被る内容になりますが、簡単に解説します。

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景気判断は維持
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今回のように展望レポートがない回(3月、6月、9月、12月)とある回(1月、4月、7月、10月)とでは分析の詳しさに違いがありますが、景気判断は現状・先行きとも概ね維持されました。リスク要因も同様です。

(現状)
・基調:一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
・個人消費:物価上昇の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善を背景に底堅く推移している
・設備投資:緩やかな増加傾向にある
・住宅投資:減少している
・公共投資:横ばい圏内の動きを続けている
・輸出:米国の関税引き上げの影響を受けつつも、基調としては横ばい圏内の動きを続けている

(先行き)
・各国の通商政策等の影響を受けて、海外経済が幾分減速し、わが国企業の収益なども下押しされるもとで、緩和的な金融環境などが下支え要因として作用するものの、成長ペースは緩やかなものにとどまると考えられる。その後については、海外経済が緩やかな成長経路に復していくもとで、成長率を高めていくと見込まれる

(リスク要因)
・リスク要因としては、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向、企業の賃金・価格設定動向、金融・為替市場の動向などがあり、それらのわが国経済・物価への影響については、十分注視する必要がある

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利上げ判断の背景
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利上げ判断の背景は以下の通りです。

・賃金面:労働需給は引き締まった状況。企業収益は全体として高い水準を維持。こうしたもとで、春季労使交渉に向けた労使の対応方針や日本銀行の本支店を通じたヒアリング情報等を踏まえると、来年は、今年に続き、しっかりとした賃上げが実施される可能性が高く、企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低いと考えられる。

・関税の影響:米国経済や各国の通商政策の影響を巡る不確実性は引き続き残っているものの、低下している。

・物価面:賃金上昇の販売価格への転嫁の動きが続くもとで、消費者物価の基調的な上昇率は、緩やかな上昇が続いている。

以上を踏まえ、「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高い」、「先行き、基調的な物価上昇率が2%の「物価安定の目標」と概ね整合的な水準で推移するという、中心的な見通しが実現する確度は高まっている」とされます。

そして、金融緩和の度合いを調整する観点から、利上げが決定されました。

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先行きも利上げ継続
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利上げは今後も続きます。「現在の実質金利がきわめて低い水準にあることを踏まえると、「展望レポート」で示している経済・物価の見通しが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」とします。

今回の政策金利変更後も、実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持されると判断しているからです。

注目の中立金利については、推計が難しいとのスタンスを崩さず、明言を避けました。そのうえで、0.75%よりは高いとの見方は滲み出たように思います。また、推計を断念はしないが、同時に、利上げが経済・物価に与える影響を見極め、「丁度よい」「中立金利よりまだ低い」などを判断していく現実的な考えも示されました。

前回利上げ(今年1月)からかなり間が空いた利上げとなりました。この間、トランプ関税や高市政権誕生などが続き、機を逸し続けた感があります。次回、それこそ最後の利上げになるのかもしれませんが、半年後くらいが現実的なタイミングでしょうか。

今回はこの辺で。

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