2026/08/01 19:00 | 戦略論 | コメント(0)
デモは効くのか
今週も国際政治が大きく動いていますが、やはり中東情勢ですね。本メルマガでも以前から述べているように、米・イラン関係は悪化しており、本日に至っては、なんとイランが米軍基地を置く友好国のクウェートに対して攻撃を仕掛けたというニュースが入ってきています。
■ イラン、クウェートの航空基地を攻撃 国営メディアが報じる(7/31 CNN)
その合間に、日本では7月28日の午後に熊本で震度7の大地震が発生しました。 自衛隊も出動する大災害となっていますが、実は私も、昨年、今回災害派遣(災派)で出動している部隊が所属する駐屯地で講演を行ったり、論文指導をした学生が熊本の司令部で勤務しているといった縁もあり、気が気でならない状態です。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
以下の発表資料では、自衛隊の災害派遣について報告されています。私の知人が活動していることもここでわかります。
■ 令和8年熊本地震に係る災害派遣について(7/30 防衛省)
ところが、このような状況でも日本の周辺国は活動を止めることはありません。たとえば中国は海軍の艦船を沖縄周辺で航行させており、海自の船が監視しなければならない状況が続いています。
■ 中国海軍艦艇の動向について(7/30 統合幕僚監部)
この一連の動きを見るにつけ、個人的に毎度思い起こされる一つの悩みがあります。それは、「どうすれば日本の社会(国民)に健全な危機感を持ってもらうか」ということです。
安全保障関係者の間では、たとえば「中国が拡大してきて日本がピンチに追い込まれることになる」というシナリオは、2000年代の後半からすでに自明で、台湾有事を初めとするリスクが顕在化することは予想されていました。しかし、肝心の日本のメディアや社会全体では、どうもそのような危険性からあえて目をそらしてきたような面があったように思われます。
そのような状況だったため、「中国(ロシアや北朝鮮)に備えよ!」と唱えることは、「危機を煽っている」としてむしろ疎まれるような向きがありました。私含め、安全保障に関心のある識者たちが抱えてきた課題の一つは、「色物扱いされずに、いかに危機感を持ってもらうか」という点だったように思います。
本メルマガの読者の方々のように、安全保障への意識が高い方々であれば、危機感をしっかりとお持ちであると思います。ところがまだまだ日本の世論は、目の前に迫っている脅威を直視することを避けているようです。
「正しく危機意識を持ち、それに対して恐れずにしっかりと備える風潮をつくる」と言えば、たしかに聞こえは良いですが、まさに「言うは易く行うは難し」。この問題の克服こそが、この先数年にわたり、日本の安全保障関係者にとっての最大の課題になるように感じています。
さて、今回は、民主主義国家においては、国民の意見表明の権利として認められている「デモ」について取り上げます。これが本当に「効く」のかという、普段の生活で我々があまり意識しないと思われる、社会運動の効能について考えてみます。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
デモは効くのか
***********
▼抗議デモの理論
▼暴力は嫌われる
▼結局は政治
***********
本の紹介
***********
先週のことですが、地方での講演のために一泊で山口県の宇部市に行ってきました。飛行機で行ったのですが、その機内で読み始めたら止まらなくなってしまったのが以下の本です。
■ 広尾晃『高野連』
タイトルこそ「高野連」ですが、この組織について正面から取り上げたのは全6章のうちの2章くらい。残りは高校野球をめぐる最近の問題のあれこれを、取材で得たネタとともに書かれたものです。
一般的にあまり良いイメージのない(?)高野連ですが、実際は権威がありながら予算不足であり、ガバナンスがうまくいっておらず、その実態は意外と地味であることがわかります。
日本の組織経営の問題点が浮かび上がってきており、まるで旧軍の問題点を指摘した『失敗の本質』を読んだ時のような既視感がありました。
時代の変化に対応しきれていない高野連、というより高校野球は、この本の言うとおりだとすると、おそらく数年以内に末期的な状況に追い込まれてしまうのではと感じました。
個人的には高校野球を見るのは好きなのですが、読んでいて少しつらいものがありましたね。良書です、ぜひ。
***********
好評発売中の書籍
***********
■ 『世界最強の地政学』文春新書
■ 『新しい戦争の時代の戦略的思考』飛鳥新社
■ 『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』新星出版社、改訂版(★再び増刷決定!★)
■ 『やさしくわかるエネルギー地政学』小野崎 正樹、技術評論社
■ 『戦争論 レクラム版』(解説担当)クラウゼヴィッツ著 芙蓉書房出版
■ 『なぜリーダーはウソをつくのか』ミアシャイマー著、中央公論新社
■ 『クラウゼヴィッツ: 『戦争論』の思想』マイケル・ハワード著、勁草書房
■ 『地政学:地理と戦略』コリン・グレイ&ジェフリー・スローン編著、五月書房新社
■ 『戦争の未来』ローレンス・フリードマン著、中央公論新社
■ 『インド太平洋戦略の地政学』ローリー・メドカーフ著、芙蓉書房出版
■ 『戦争はなくせるか』クリストファー・コーカー著、勁草書房
■ 『デンジャー・ゾーン』マイケル・ベックリー&ハル・ブランズ著、飛鳥新社
■ 『スパイと嘘』アレックス・ジョスキ著、飛鳥新社
■ 『アジア・ファースト』エルブリッジ・コルビー著、文春新書
■ 『認知戦:悪意のSNS戦略』イタイ・ヨナト著、文春新書
■ 『「スター・ウォーズ」に学ぶ現代の戦争 戦略の逆襲』カヴァナー編著、文藝春秋社(★最新刊★)
当社に無断で複製または転送することは、著作権の侵害にあたります。民法の損害賠償責任に問われ、著作権法第119条により罰せられますのでご注意ください。
いただいたコメントは、チェックしたのち公開されますので、すぐには表示されません。
ご了承のうえ、ご利用ください。

























