ODYSSEY Geopolitics & Business

2026/03/02 06:30  | by Konan |  コメント(0)

Vol.311: 月例経済報告と日銀審議委員


今回は、2月25日に公表された内閣府月例経済報告を紹介します。また、話題の日銀審議委員人事について付言します。

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内閣府は景気判断維持
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自動車産業への言及が削除されました(1月は「米国の通商政策等による影響が自動車産業を中心にみられる」と記述)が、全体としては景気判断は維持されました。

(現状)
・基調:景気は、米国の通商政策の影響が残るものの、緩やかに回復している
・個人消費:持ち直しの動きがみられる
・設備投資:緩やかに持ち直している
・住宅建設:弱含んでいる
・公共投資:底堅く推移している
・輸出:おおむね横ばいとなっている

(先行き)
・基調:雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待される。ただし、今後の物価動向や米国の通商政策をめぐる動向などの景気を下押しするリスクに留意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響に引き続き注意する必要がある
・個人消費:雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある
・設備投資:堅調な企業収益や省力化投資への対応等を背景に、持ち直し傾向が続くことが期待される
・住宅建設:当面、弱含みで推移していくと見込まれる
・公共投資:関連予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる
・輸出:米国の関税引上げによる直接的な影響、通商問題による世界経済を通じた間接的な影響等に留意する必要がある

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日銀審議委員とは?
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日銀審議委員人事が久し振りに注目を集め、マーケットにも影響を与えました。任期5年の審議委員2名の後任候補が超リフレ派だったからです。「高市総理は利上げを望んでいない」と受け止められた格好です。

審議委員は、日銀の最高意思決定機関である政策委員会のメンバーです。9名の政策委員会メンバーは、総裁、2名の副総裁、6名の審議委員で構成されます。任期は5年、就任には国会の同意が必要です。

審議委員は「非常勤で金融政策にしか関与しない」と幅広く・根深く誤解されています。しかし、常勤で毎日出勤しますし、日銀法第15条で政策委員会は金融政策以外の幅広い事項(例えば金融システム安定に関する事項や日銀の予算のような組織運営事項など)を決定する役割を与えられています。普通の会社で言えば、「常勤の社外取締役」のような感じでしょうか。

ただし、今回の2名以外の審議委員はリフレ派ではないので、2名が反対しても利上げは行えます。また、国会同意人事では衆議院は優先せず、参議院が否決すれば就任できません。少数与党の参議院で野党が結束すれば、就任を阻止し高市総理に打撃を与えることが可能です。

今の野党にそこまでの結束力があるとは思えませんが、国民会議への参加状況を見ると、可能性がゼロとまでも言えません。論点は、「利上げせず円安になっても良い。物価高対策は財政出動で行う」と考えるか、「円安の進行は未然に抑止した方がよい」と考えるか。重要な政策判断の分かれ目です。

2年後の正副総裁人事の前哨戦として注目しています。今回はこの辺で。

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