2026/03/30 20:00 | 戦略論 | コメント(0)
イラン攻撃に近い歴史の例は?
先週も色々と国際政治が動いていましたが、日本にとって最も重要なのは、やはりホルムズ海峡の封鎖、この一択でしょう。
■ ホルムズ海峡以外のルートでサウジアラビア産の原油が今治市に到着 搬入作業始まる【愛媛】(3/29 eat 愛媛朝日テレビ)
このニュースは、ホルムズ海峡を通らないルートでも原油が輸入される可能性が示されたという意味で朗報であり、一つの光明ともいえるものでしょう。
とはいえ、相変わらず同海峡は実質的に封鎖されたままであり、封鎖前の輸送量が確保できない状況は改善していません。このままいけば、早ければ4月中、遅くてもゴールデンウィークまでには、「オイルショック時を越えるパニック」が日本でも現実味を帯びてくる、と私は予感しております。
しかも、アメリカの軍事行動そのものに目を向けても、アメリカ国内だけでなく海外の軍事専門家たちの中でも、とりわけ党派性のない本物の軍事専門家たちは、ことごとく今回のイラン攻撃におけるトランプ政権のやり方に疑問を呈しています。彼らはその根拠として、過去の事例との比較(アナロジーといいます)をいくつか提示しています。
その代表例は、本メルマガでは何度も紹介しているエアパワーの専門家であるシカゴ大学のロバート・ペイプ教授による指摘です。彼は、今回の状況を理解するためのアナロジーとして、ベトナム戦争(1965-75年)の事例を引き合いに出しています。
特にぺイプは、今回のイランがホルムズ海峡という世界の原油の20%が通過する要衝を封鎖することで世界経済そのものを人質にとった点を重視しています。そのため、今回の失敗のスケールは「ベトナム戦争をさらに強化したもの」(Vietnam on Steroids)と強く印象に残る言葉で表現しています。
■ 【動画】Professor Pape: Iran Is ‘VIETNAM ON STEROIDS’(3/27 Breaking Points)
ベトナム戦争といえば、アメリカがフランスの後を受けて南ベトナムを支援したことから本格化し、北ベトナムとのあいだでほぼ10年間にわたって続いた戦争であり、アメリカの社会に深い傷跡を残しました。「不毛な介入から泥沼化した戦争」の代名詞でもあります。
そのベトナム戦争を引き合いに出すペイプにしてみれば、いよいよ陸上部隊がイランに派遣されるような状況は、まさに1965年にアメリカが初めての戦闘部隊を上陸させた場面(中部ダナンの空港を守るため)と重なることになります。
ベトナム以外にも、20数年前のアフガニスタンやイラクへの侵攻になぞらえる識者もいます。しかし私が個人的に最も興味深いと感じたのは、なんと第一次世界大戦(1914-18年)の例を持ち出してきたものでした。
このアナロジーを提案したのは、経済史や金融史を専門としてきたスコットランド出身の歴史学者であり、現在はアメリカのフーバー研究所のシニアフェローを務めるニーアル・ファーガソンです。
彼は以下の「こうしてイラン戦争は世界的な紛争へと発展する」という題名の意見記事の中で、近年出版された「ガリポリの戦い」(1915~16年)についての本を参照しつつ、この日本人には馴染みのない戦いが、今回のイラン攻撃を考える上で実に参考になると言っているのです。
■ Niall Ferguson: This Is How the Iran War Goes Global(3/17 THE FREEPRESS)
イギリス出身の学者としては意外に、トランプ大統領に同情するような発言をすることで注目されることが多いファーガソン。私は彼の分析のすべてに賛同するわけではないですが、今回のものは実に鋭い視点を持っていると感じました。そこで今回はこれを手がかりに色々と考えてみたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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イラン攻撃に近い歴史の例は?
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▼ガリポリとは
▼チョークポイントの本質
▼過信の罠
▼作戦の拡大
▼アナロジーの評価と戦略的含意
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近況報告
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ここ最近、親族関係の法事に立て続けに参加することになり、その中であらためて実感したことがありました。
それは「法事が終わった後に、なぜあそこまでドッと疲れが出るのか」という点です。
しかもこれは主催者側だけじゃなく、参加者、さらには大人だけじゃなくて、子どもたちにもおしなべて言えるようなのです。
そういえば、親戚のこどもたちも法事に参加していたのですが、終わったあとに集まった親戚の家の畳の上で全員が昼寝をしているところを見かけました。あれ気持ちいいんですよね。
私は昼寝こそしなかったわけですが、その二日後くらいに出張行ったあと体調を崩し、二日間も寝込んでしまいました。どうやら法事の疲れが残っていたようです・・・。
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