ODYSSEY Geopolitics & Business

2026/04/18 20:00  | 戦略論 |  コメント(0)

シーパワーの時代の終わり?


今週も色々と国際政治が動いていますが、日本にとって最も重要度が高いのは、やはりイラン情勢ですね。

とりわけ注目されるのは、ホルムズ海峡がいまだ開いていない中、しびれを切らしたトランプ政権が対抗措置(カウンターメジャー)として、同海峡の「逆封鎖」に踏み切ったことです。

Why and how is US blockading Iranian ports in Strait of Hormuz?(4/14 BBC)

上記記事は、アメリカとしては、海峡全体を閉じるのではなく、イランの港に出入りする船舶を止めることを追求しており、 イランに対するホルムズ海峡の(逆)封鎖を開始したのは、そのための措置として機能させようとしているものと説明しています。

その狙いはもちろん、石油の輸出と物流を遮断してイラン経済に圧力をかけ、交渉で譲歩を迫るという点にあります。しかし、その実施には艦艇、航空機、監視、そして臨検体制などが必要になってきます。イランもやられっぱなしではないので、機雷や小型艇、ミサイルによる反撃リスクも大きいとされています。

そもそも「封鎖」(blockade)とは、軍事行動であると同時に、「経済制裁」と「外交強制」を組み合わせた戦略です。このため、原油価格や世界海運を混乱させ、かえって紛争を拡大させる危険も伴うと指摘されています。

封鎖によってイランから出てくる原油を締め上げれば、世界に出回る石油の絶対量が減少するので、世界市場で原油価格のさらなる上昇につながるという意見もありますね。常識的に考えてもそうなりそうです。

このように目下の情勢では、ホルムズ海峡をめぐって米国とイランが激しい鍔迫り合いを繰り広げていますが、今回は視野を広げ、アメリカのホルムズ海峡でのつまずきがそもそも何を意味するのかという、より大きな問題を考えてみたいと思います。

一方、ホルムズ海峡以外でも、戦略の世界では様々なニュースが出ています。そこでまず、戦略論において注目すべきニュースを2点取り上げ、そのあと、本題であるホルムズ海峡とシーパワーの話に移りたいと思います。

※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。

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シーパワーの時代の終わり?
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▼ランドパワーが変わる?
▼中国の海上ネットワーク
▼ホルムズ海峡の封鎖
▼「アメリカのシーパワー時代」の終わり?
▼今後のシナリオは?

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近況報告
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ニッポン放送の朝番組「飯田浩司のOK! Cozy up!」には、近年、ほぼ毎月のように出演させていただいていますが、4月14日(火)に出演した時に聞いた話が印象的でした。

この時のもう一人のゲストは、合同会社「エネルギー経済社会研究所」の松尾豪さんというエネルギー専門のコンサルタントの方でした。最近は広くメディアにも呼ばれている方です。

日本のホルムズ海峡事案の影響がどのようになるのか、番組の中でも解説してもらったのですが、どうやらこれまで日本に入ってきていた原油の量の6割くらいは日本政府は確保できているようだ、とのことでした。

ただ、それでも4割は足りませんし、かき集めてきた6割も中東以外のものなので、石油の質が違うために中東向けに最適化されてしまっている日本の精油施設などは、あらたに設備を改修したりしなくてはなりません。

ということで、結論としてはゴールデンウィーク前後から日本国内も「省エネモード」に入らなければならないのでは、ということでした。

みなさん、パニックにならずに粛々と備えましょう。

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