ODYSSEY Geopolitics & Business

2026/04/13 06:30  | メルマガ |  コメント(0)

第353号 イラン情勢に好転の兆し、経済データにイラン情勢の影


●プロローグ
●先週のマーケット
●今週の米経済統計(予想)
●先週の米経済統計(結果)
●経済統計分析
1. ISMインデックス
 ・ISM製造業 3月
 ・ISMサービス業 3月
2. PCEデフレータ
3. CPI 3月
4. 新規失業保険申請件数
●注目テーマ
〇日銀4月利上げの可能性
●あとがき

●プロローグ

相変わらずイラン情勢に振り回された1週間だったが、先週のメルマガに、米国による戦争自体は終戦に向かうとみていいのではないだろうか、と書いたとおり少しフェーズが変わってきている。

とりあえず2週間の停戦が決まり、このまま戦争が終結に向かうのであれば、主要中銀による中東情勢由来の原油高によるインフレへの警戒も弱まるかもしれない。ただ、一度生産機能を破壊された原油は価格が高止まりするだろうし、戦争もスムーズに終結まで進むわけでもなく、むしろ主要中銀がこの状況をどのように捉えるのかは注目していきたいところ。

まず今週は、経済指標とともに先週行われた日銀関連報道と、4月金融政策決定会合の見通しも見ていきたい。注目のイラン情勢はあとがきで。それでは始めよう。

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あとがき
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米・イスラエル対イランの戦いに交渉期限まで数時間と迫る中で、パキスタンによる粘り強い仲介により終結に向け事態が好転の兆しを見せ始めた先週、パキスタンが仲介役となることは想定外だったが、終戦に向かうという流れは先週のメルマガで見てきた通りだった。トランプ大統領は7日に自身のSNSに、イランへの攻撃を2週間停止することで同意すると表明するとともに、ホルムズ海峡をイランが完全かつ即時に安全に開放することを条件とした。

10日から戦闘終結に向けた協議をはじめ、週末、パキスタンの首都イスラマバードで停戦交渉が行われた。残念ながらというべきか、想定内というべきか、交渉は決裂。米国・イラン双方がお互いに不満を述べて終了、イラン側の発言によれば、いくつかの相違点が残っており、交渉は継続、そもそも1回の会合だけで合意に達するとは思っていない、とのこと。協議にあたったバンス米副大統領は、帰国の途につく前に、記者団に、核兵器を製造しないことを含めた米側の条件が受け入れられなかったとコメントした。期間延長して協議する予定だったにもかかわらず帰国するということは相当溝が深いということか。

とはいえ、過去を振り返っても、たった1回の交渉で合意に至る戦争はほぼないわけで、イランも外交による解決を望んでおり、外交ラインが閉ざされていないのであれば、攻撃が再開したとしても、再交渉期待が醸成される可能性はあるだろう。

米国によるイラン攻撃開始から約6週間が経とうとしているが、これ以上長期化することは、トランプ大統領としても望んでいないはず。そもそも、戦費や兵器や備蓄の面からも持続可能ではないことは明らかだろう。何より、戦争権限法(War Powers Resolution)によって、大統領が議会の承認なしに戦闘行為(敵対行為)を継続できる期間は、原則として最大60日間と定められており、何とかこの間に終結させたいというのが本心だろう。

トランプは、交渉が終了する前に「交渉はしているが、合意するかどうかは私にとって違いはない。われわれは勝利したからだ」と記者団に述べ、合意は必ずしも必要ではないとの考えを示している。しかし、この戦争を勝ったことにして早く終わらせたいのはトランプなのではないだろうか・・・。

ちなみに今回、中国がイランに停戦受け入れを最終的に説得したとの報道があり、トランプもそれを認めたとのこと。今回の戦争を米国の失敗ととらえる向きは非常に多く、それを中国が介入して停戦に向かわせたことを考えると、米国、中国どちらが信頼できる国なのかと考えた場合、その答えは明らかだろう。そして、中国、パキスタンの外交的立場は引きあがる一方で、米国の外交プレゼンスは絶対的に下がることになり、米国の信認が落ちるという意味でドル売りに向かいやすいと言える。といっても、米国支持は下がったから、すぐに脱ドル化というのは難しく、数十年単位という長い時間においてそういった流れになる可能性があるということだ。

先週、某著名ストラテジストと話をしていたら、似たような話をしており、米国の優位性が落ち、次の覇権国は中国になる可能性が高いという話である。ただしこれも数十年単位という長い時間をかけて起こる変化であり、基軸通貨である米ドルの地位が揺らぎ人民元が取って代わるというのはそんなに簡単な話ではない。もし、それが実現するとしても、それなりに時間が必要で私はお爺ちゃんになっているか、或いはもう生きていないかのしれないのだが、長期で見た場合、世界はそういった流れの中にいる可能性があるということは意識しておいて損はないだろう。

さて、桜が葉桜になり、清々しい陽気が増えました。そして今年は、久しぶりに新人と思しき集団が街中で目につくような気がします。また、ランチ時にアルコールを片手に大人数で食事をしているなと思ってみてみると、歓送迎会だったということもしばしば。実際、こうしたランチ歓送迎会はコロナ前から5倍近くに増えているという調査もあり、出社スタイルで仕事をしつつも、歓送迎会も業務の一環、という新たな価値観が垣間見えます。

というわけで、今週もイラン情勢含めどうなりますか、皆様よい1週間をお過ごしください。

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