2026/05/30 20:00 | 戦略論 | コメント(0)
ポスト・ヒロイックな時代とは?
今週も色々と国際政治が動いていますが、注目すべきはやはりアメリカとイランの交渉の状況ですね。
本稿執筆時点では、両国が「60日間の停戦の延長」と「核開発計画に関する協議開始」という点で暫定合意に達した、という報道が出ています。
■ 米・イランが停戦60日延長で暫定合意、トランプ氏の承認待ち(5/28 ブルームバーグ)
ただし、このような交渉の話は、2月末の開始から一ヶ月ほどたった4月8日の停戦開始以降、何度も出てきました。そのたびに注目されるわりには交渉が進展していないことが判明し、株価のインサイダー取引疑惑も浮上するなど、どうにもスッキリしない展開が繰り返されています。
■【分析】 トランプ政権に影を落とす数々のインサイダー取引疑惑(4/20 BBC)
本メルマガでも繰り返し述べているように、交渉の争点は今のイランにとって国家の存亡に関わる死活的な問題(核問題・ホルムズ海峡の管理)であるため、イランがアメリカからの提案に安々と乗ってくることは想定できません。
そうなると短期的な解決は難しく、今後は、(1)現状のダラダラした交渉の継続、あるいは(2)交渉打開のための軍事行動、という二択になる可能性が高そうです。
イラン情勢以外には、中国の江蘇省で開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合(5月22・23日)で、訪中した赤沢経産大臣が中国の王商務相に正式な会談を求めたものの、中国側がこれを拒否したというニュースが報じられました。
■ 日中関係悪化「根源直視を」 閣僚会談見送りで中国(5/28 共同通信)
相変わらず中国側は「高市早苗首相による誤った言動」を批判していますが、北京はどうやらこの問題を収束させる気がないようです。習近平もトランプとの会談で「高市はけしからん」と非難していたという報道もありましたね。
■ 米中会談で習氏が日本批判 トランプ氏は擁護、ほど遠い日中関係改善(5/28 朝日新聞)
こうした状況を見る限り、習近平政権はおそらく高市政権が終わるまで日本批判を続ける構えです。この対立的な関係の長期化は、2016年の韓国のTHAAD配備に端を発した中韓関係の長きにわたる関係の悪化にますます似てきているように見えます。
さて、今週の本題は、現在来日中の戦略家、エドワード・ルトワックに関する話です。
彼が何をしていたのかについては詳しく書けないのですが、重要な点として、現在の日本や世界を取り巻く状況においてカギとなる概念について強調していたことをお伝えしたいと思います。それを踏まえ、今後の日本の課題について思索をめぐらしたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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ポスト・ヒロイックな時代とは?
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▼戦いたくない社会
▼戦い方が変わる?
▼日本への示唆
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本の紹介
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ルトワックが来日した際のエピソードをここで語る予定でしたが、今回は良書の訳本を見つけてしまったので、その紹介を先に。
■ フィリップス・ペイソン・オブライエン『歴史を変えた戦略家たち 上』
■ フィリップス・ペイソン・オブライエン『歴史を変えた戦略家たち 下』
著者はアメリカ出身ですが、スコットランドの大学で教鞭をとるフィリップス・オブライエン教授。専門は私と同じ戦略研究です。
本書は、第二次世界大戦の欧州戦線で活躍した5人のリーダーたちに焦点を当てつつ、彼らの思想や行動がいかにその国々の軍事行動や戦争のやり方に直結していたのかを説明することで、その「戦略」を明らかにしています。
つまり「戦略は人なり」ということなのですが、これはここ数十年間の軍事史のトレンドであった「社会」や「構造」を強調するのとは対照的で、実に画期的なものです。
たとえばルーズベルトは、戦前に「シーパワー論」で有名なアルフレッド・セイヤー・マハンの考えに触れていたおかげで海軍を増強しており、それによって太平洋での戦いに備えることができたとされます。個人のリーダーたちの考え方がいかに戦略的な行動に影響を与えていたのかを、豊富なエピソードとともに紹介しています。
日本について触れていないのが残念なのですが(むしろ日本の場合は個人というよりも組織的な構造からダメになっていたので当然とも考えられますが)、戦略がどのように形成される・されないのかを鮮やかに論じており、自信をもってオススメできる本です。
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好評発売中の書籍
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■ 『世界最強の地政学』文春新書
■ 『新しい戦争の時代の戦略的思考』飛鳥新社
■ 『サクッとわかる ビジネス教養 新地政学』新星出版社、改訂版(★再び増刷決定!★)
■ 『やさしくわかるエネルギー地政学』小野崎 正樹、技術評論社
■ 『戦争論 レクラム版』(解説担当)クラウゼヴィッツ著 芙蓉書房出版
■ 『なぜリーダーはウソをつくのか』ミアシャイマー著、中央公論新社(★第二刷決定★)
■ 『クラウゼヴィッツ: 『戦争論』の思想』マイケル・ハワード著、勁草書房(★増刷決定★)
■ 『地政学:地理と戦略』コリン・グレイ&ジェフリー・スローン編著、五月書房新社
■ 『戦争の未来』ローレンス・フリードマン著、中央公論新社
■ 『インド太平洋戦略の地政学』ローリー・メドカーフ著、芙蓉書房出版
■ 『戦争はなくせるか』クリストファー・コーカー著、勁草書房
■ 『デンジャー・ゾーン』マイケル・ベックリー&ハル・ブランズ著、飛鳥新社
■ 『スパイと嘘』アレックス・ジョスキ著、飛鳥新社
■ 『アジア・ファースト』エルブリッジ・コルビー著、文春新書
■ 『認知戦:悪意のSNS戦略』イタイ・ヨナト著、文春新書
■ 『「スター・ウォーズ」に学ぶ現代の戦争 戦略の逆襲』カヴァナー編著、文藝春秋社(★最新刊★)
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