2025/11/30 17:00 | 戦略論 | コメント(0)
抑止の本質
香港の大火災が大ニュースですが、戦略関連のトピックでいえば、今週の注目はやはりロシア・ウクライナ戦争における和平交渉に関する動きではないでしょうか?
■ プーチン氏、ウクライナの領土を改めて要求 米との協議を前に(11/28 BBC)
この件についての一週間の動きを振り返ると、まず11月20日にトランプ政権からゼレンスキー政権に提案された和平案があまりにもロシア寄りだとして大問題に。ところがそれを受けて今度は欧州側から出た案にウクライナが了承。結果として振り出しに戻るという、まさに「大山鳴動してネズミ一匹」という展開となりました。
一方、中国についても動きがありました。中国は相変わらず高市政権に圧力をかけていますが、一連の外交の中で、トランプ大統領が高市首相に対して電話会談の中で日中対立に懸念を伝えたという報道が出ております。
■ 【独自】トランプ氏、日中の対立を懸念 首相に「エスカレート回避を」(11/27 共同通信)
元記事はアメリカのウォールストリート・ジャーナル紙の報道ですが、中国出身の記者が共同執筆者の一人であったことから様々な憶測を呼んでいます。「高市政権がアメリカに見放されたサインか?」とうがった見方をする識者も出てきたようです。
ただ私は、これに関しては、単に米中関係が安定しているという事実が浮かび上がってきただけだと考えています。しかも高市発言を撤回するように求めたわけではないので、まったく心配はしていません。
それ以上に気になるのはトランプ大統領の健康不安説の方です。先日ニューヨーク・タイムズ紙がトランプ大統領の最近のスケジュールを調査した結果、第一期の頃よりもはるかに軽いスケジュールに変更しつつあることを指摘しています。
■ Shorter Days, Signs of Fatigue: Trump Faces Realities of Aging in Office(11/25 The New York Times)
公務の時間も、第一期は10時半から17時だったものが、正午から17時まで短くなったことや、座ったままの状態が増えて居眠りしているところを度々目撃され、公務の40%が減ったと書かれています。トランプ自身はすぐに自身のSNSで反論しましたが、まだまだエネルギーにあふれているとはいえ、もう79歳。
記者に対する暴言が増えているのも高齢化の影響だと言われています。アメリカという世界で最も強力な国のリーダーがこのような不安定な状況は、まさに「地政学リスク」の最たるものではないでしょうか。
さて、今回はやや専門的に、日本の安全保障を考える際に頻繁に言及される「抑止」(deterrence)という概念について解説をしたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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抑止の本質
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▼抑止の歴史
▼抑止の本質
▼日本に求められる覚悟
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書評『ロシアによる「抑止」の技法: 戦略文化 強制 戦争』
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