2026/01/13 15:00 | 戦略論 | コメント(0)
なぜベネズエラとグリーンランドなのか
大変遅れましたが、新年明けましておめでとうございます。少しお休みをいただきましたが、本年も本メルマガをよろしくお願いします。
私事で恐縮ですが、年末年始はほとんどどこにも行かず、いわゆる「寝正月」でゆっくり過ごしました。紅白歌合戦を家でまったりと見ただけでなく、箱根駅伝をじっくり見れたというのが個人的には満足度が高かったように思います。
特に今年は強く感じたのですが、紅白や箱根駅伝など、あれだけの大きなイベントでは、その背後で働いている人々の仕事の量がとんでもないものでしょう。自分も時々やるような「打ち合わせ」というものが、あの放送までにどれだけ積み重ねられているものなのかと考えるとゾッとしました。
年末年始にロジスティクスの大切さをあらためて感じたという意味で、寝正月にも意味があったのではと自分に都合良く解釈しております。
さて、今週も色々と国際政治が動いておりますが、地政学・戦略関連のトピックでいえば、やはり注目すべきは、年初の1月3日にトランプ政権が電撃的にベネズエラを侵攻し、マドゥロ大統領夫妻を拘束・拉致してアメリカのNYの法廷に「米国の法律を犯した犯罪者」として法廷に立たせたことでしょう。
■ 「私は戦争捕虜だ」、マドゥロ氏が米連邦地裁に初出廷 無罪主張(1/6 BBC)
法律面での是非はさておき、主権を持った他国の大統領を拉致して自国の法廷に委ねるという行為は、帝国主義以外の何者でもないと言われても仕方ないでしょう。
さらに驚きなのは、ベネズエラ案件の直後に、NATO参加国という同盟国であり、中東での対テロ戦では50人近くの死者を出して貢献しているデンマークの領土の一部であるグリーンランドをトランプ大統領が無理やり獲得する意欲を見せていることでしょうか。
当然ながら大手メディアを中心に様々な批判が出ているわけですが、トランプ自身にとって最も大きなダメージとなり得るのは、自身の所属する共和党の連邦議員たちの中からも疑問の声が出ている点ではないでしょうか。
■ Republicans push back on White House military threat toward Greenland(1/8 The Washington Post)
このトランプ政権の一見すると破滅的な動きについて、今回はその原因に関するいくつかの論点を整理しつつ、地政学的な観点から見えてくる大きなポイントについてまとめてみたいと思います。
※ここからはメルマガでの解説になります。目次は以下の通りです。
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なぜベネズエラとグリーンランドなのか
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▼なぜベネズエラなのか?
▼その他の理由?
▼モンロー主義と地域覇権
▼地政学とアメリカ
▼日本にとっても他人事ではない?
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近況報告
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大学院の最終講義で、第二次大戦の欧州戦線をモデルとしたボードゲームを使用しながら、再びウォーゲームをプレイ(試合)して来ました。
単にボードゲームをプレイするだけでなく、試合の前にチームを作って課題を与え、それぞれの政策目標を実現すべく動くように設定したのですが、今回の戦いは短期間ながらも実に熱いものとなりました。ドイツ(枢軸)がイギリスを占領しそうになる直前にソ連が背後からベルリンを刺し、勝利を収めてゲームオーバー、という壮絶で劇的な展開になりました。
このため、ゲームそのものよりも大事だと言われている試合後に行われた反省会、もしくは「アフター・アクション・レビュー」(After Action Review:AAR)は、実に大盛りあがりで、とりわけ負けた側のドイツチームから、実に示唆に富むコメントがいくつも出てきました。
以前から何度も言っておりますが、演習やウォーゲームなどでプレイヤーになったときに最も大事なのは「負けること」です。
勝ってしまうと、ただ単に自分たちの成功を誇るだけになりがちです。しかし、負けた方は「悔しい!」という感情を動かされるために、なぜ自分たちが負けたのかを論理的に考え、分析するインセンティブが強く働くわけですね。
ゲームで勝つのは大事ですが、それ以上にプレイヤー(この場合は私の学生たち)に本当の学びを与えてくれるのは、やはり負けることかもしれない。そのことを今回もプレイしてつくづく感じました。
逆に、勝ってしまうと学びがありません。「勝って兜の緒を締めよ」とは日本のことわざですが、これはまさに真理。国家が行う戦争にも通じることであり、負けたことからの学びは大切なのです。
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